過敏性腸症候群とその症状
過敏性腸症候群とは、腸そのものには異常が見られないのに、腹部の不快感や腹痛、下痢や便秘などが起こるという特徴があります。消化器科を受診する人の約30%が過敏性腸症候群とも言われており、「21世紀に残された病気」として病態の解明、治療法の確立が求められています。
症状は、通勤中などの急な腹痛に襲われる、大切な試験や会議の前にお腹の調子が悪くなるなど、日常生活で経験したことがある人も多いでしょう。下痢や便秘に悩まされる人は多く、病院に行くほどではないと考えてしまいがちです。しかし、生活に支障をきたす状況ならしっかりと対策をしていく必要があります。
腸内細菌の乱れが過敏性腸症候群を起こす
過敏性腸症候群は現代人に多い疾患と言われています。忙しいストレス社会を生きる現代人は、生活のリズムが乱れたり、栄養が偏ったりしがちで腸内細菌が乱れている人が多いものです。過敏性腸症候群は、ストレスや腸内細菌の乱れが発症する原因として知られています。
お腹の調子が悪いと感じたら、生活リズムを整えて善玉菌を増やすように心掛けましょう。もちろん、腸を健康に保つためにヨーグルトなどの乳酸菌が入った食品を取ることも大切です。しかし、善玉菌は食品から補うだけでなく、善玉菌が増える腸内環境を整えることが重要なベースになることを忘れないでください。
腸内環境を整えるためには、乳酸菌を取るだけでなく食物繊維などを摂取すると効果的です。野菜やイモ類、海藻類や果物などの食品が腸内で善玉菌が増える環境を作ってくれます。
過敏性腸症候群のタイプと治療方法
日常の生活リズムや食事のバランスを整えてもお腹の不調が続き、過敏性腸症候群から抜け出せない場合は医療機関に相談しましょう。過敏性腸症候群は主に「下痢型」「便秘型」「下痢・便秘混合型」の3つのタイプに分けられます。いずれのタイプであっても、治療法は食事指導と生活習慣改善がベースとなり、その上で薬を使っていきます。
薬による治療では、「ポリカルボフィルカルシウム」という水分を吸収してゲル化する薬が使われます。水分を吸収して下痢に対処できるだけでなく、便秘に対しても便を適度な硬さにして腸の蠕動運動を起こしやすくする働きがあります。
他には、腸の働きを調整する「トリメブチンマレイン酸塩」や「ラモセトロン塩酸塩」などが処方されます。もちろん、下痢には整腸剤、便秘には下剤、腹痛には抗コリン薬なども使用されます。