中高年の世代が発症するケースが多い
40歳前後のアラフォーと呼ばれる年齢にさしかかると、ある日いきなり肩に激痛が走ることがあります。腕を上げることができなくなったり、肩を回そうとすると強烈な痛みを感じる場合、四十肩もしくは五十肩のおそれがあります。これらは40代以上の中高年世代の方に発生することが多い症状のひとつです。英語では四十肩や五十肩のことを「フローズンショルダー(凍結肩)」と呼びます。文字どおり、肩関節がまるで固まってしまったかのように自由に動かせなくなるのが四十肩の特徴です。
四十肩と五十肩は名前はちがいますが同じ症状です。特に腕を持ち上げようとするときに強い痛みを感じるのが四十肩の特徴であり、症状が進んだ人の場合、「服を着るときに袖を通そうと腕を少し上げるだけで激痛を感じる」ほか、「ポケットの中の小銭やティッシュ、ハンカチなどを取り出そうとするときに強い痛みを感じる」など、日常生活の何気ない小さな動きでも強い痛みを感じることもあります。
原因と症状はさまざま
ひとくちで「四十肩」と言ってもその原因と症状はさまざまです。四十肩は医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれます。肩関節周囲炎とはその名前のとおり、肩の関節に痛みや炎症を生じることからそのような名称がつけられています。肩関節周囲炎で多く見受けられるのは滑液包(かつえきほう)の減少によって関節の骨同士がこすれ合う肩関節の炎症です。
滑液包は関節を包むように存在しており、関節を保護する役割をもっています。また、関節を保護するものとしてはは関節を包んでいる関節包もあります。四十肩の原因の多くは加齢によって滑液包や関節包を構成している滑液という液体が減少してしまい、肩関節の保護機能が薄れてしまうことによって発生します。機械にたとえると潤滑油が少なくなってしまった状態です。また、四十肩はローテーターカフと呼ばれる肩関節の腱板が損傷することによってもひきおこされます。
治療は様子を見ながら少しずつ
四十肩を治す方法は患者さんの症状によっても対処の仕方がちがってきます。痛みが非常に強い急性期には肩関節をなるべく動かさず、炎症をしずめるために冷湿布などの消炎鎮痛剤や消炎効果のある冷却ジェルを肩に塗り、様子を見ます。肩関節の急激な痛みが取れてきたら、今度は肩を温める温熱療法を行います。温熱療法は温湿布を痛みのある箇所に貼る、入浴療法を行うなどの方法があります。痛みが落ち着いてきたあとは、肩関節のストレッチやローテーターカフである肩関節のインナーマッスルを鍛えるトレーニングによるリハビリを開始します。