インプラントは万能な義歯なのか

インプラント治療が向いている人と向いていない人がいます

インプラント治療とは、ネジのような形をしたフィクスチャーという部品(インプラント体)を治療を受ける患者さんのあごの骨に直接埋め込み、人工の歯根を作る義歯治療の一種です。入れ歯やブリッジと異なりインプラント治療では人工の歯根がオッセオインテグレーションという現象によってあごの骨と強固に結合するため非常に安定性が高く、しっかりと食べものを噛めるようになる、という特徴があります。
しかし、インプラント治療は誰でも受けられる歯科治療ではありません。インプラントは外科的な手術を行う必要があるため、患者さんによってはインプラント手術を適用できないケースもあります。具体的には糖尿病の方や喫煙者の方、アルコール中毒の方、ホルモン治療を受けている方、骨粗しょう症の方、妊婦の方など、治療を受けられないケースも存在しています。

インプラントは必ずしも治療が成功するとは限りません

人工の歯根を埋めるため安定性が高く、人工歯にあたる素材も人工ダイヤモンドのジルコニアやセラミックを使うため審美性にも優れているインプラント。しかし、インプラントは歯ぐきの切開やフィクスチャーの埋め入れなど外科的な手術を行う必要がある治療法であり、手術には感染症などのリスクが少なからず伴います。
感染症を発症すると最悪のケースでは全身に細菌がまわってしまい重篤な症状におちいるケースもあるほか、埋め入れたインプラントが何らかの原因によって骨と結合せず、せっかく埋め入れたインプラントが抜け落ちてしまうなどのトラブルが発生することもあります。また、埋め入れには成功したものの、治療後にインプラント周囲炎という歯周病に似た病気を発症してしまい、埋め入れたインプラントが数年後に抜け落ちる事例も報告されています。

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自分自身に適した義歯を選ぶことが重要です

どんなものにも100%、すべて完璧、ということが断言できないように、インプラント治療にも「完全」は存在しません。外科的処置をする以上、感染症や脱落事故などのリスクは少なからず伴います。その上で、本当に自分にインプラント治療が必要なのかどうかを見極め、必要であればインプラント手術を受けることをおすすめします。
義歯はインプラントだけではなく、従来の入れ歯やブリッジなど、複数の選択肢があります。インプラントは自費診療となるため、予算によっても受けられる治療は異なります。どんな義歯が自分に合っているのか、その点をしっかり考えた上でインプラント治療を受けるようにしましょう。